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MY臨床発達心理学

心の金メダル

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◆冬季オリンピック
ソチオリンピックでは、国内外のトップアスリートたちのさまざまなドラマに世界中の人たちが心を揺り動かされたことと思います。クリニックには、フィギュアスケート応援部なるものが非公式に(?)存在し、金メダリストとなった羽生ゆづる選手への称賛はもちろんのこと、世界最高峰のジャンプを成功させ見事6位入賞した浅田真央選手への祝福でスタッフルームは連日にぎわっておりました。

バンクーバーオリンピック銀メダルから4年間、ソチでは金メダル必勝という国民的期待を一身にうけての出場。そしてショートプログラム16位という厳しい状況の中から、浅田選手はどのように気持ちを回復させ、フリーで自己最高得点をたたき出すほどの集中力を取り戻されたのでしょうか。試合後のインタビューを聞いていますと、その心の変容過程を紐解くことができます。

「ショートは、団体戦のときのような感覚(恐怖心)が来たって、覚悟はしていたんですが、気持ちの整理がつかないまま、曲がスタートしてしまって、コントロールがきかないまま終わってしまったという感じだったんです・・(荒川静香さんとの対談で)」

「昨日の演技はとても残念で自分もすごく悔しくて取り返しのつかないことをしてしまったという思いがあるんですけど・・・」

「いろいろあったんですけど、今回のこの試合(フリー)もジャンプひとつひとつをクリアに跳んでいこうと思いました。(試合直後のインタビュー)」

 私は浅田選手がフリー演技直前に「ジャンプ一つ一つをクリアに跳んでいこう」と考えたことが、心を回復できた大きなポイントであったと思いました。前日の演技の結果を皆がどう評価しているか、これからの演技の結果がどうなるか、後悔や不安などの不快な情動を引き越す過去や未来に心が支配されないよう、目の前の自分の体の動き一つ一つに心を集中させたことが、浅田選手が本来もっている最高技の成功を導いたのだと思います。

◆目の前のことに集中する
 子どものころは何をするのも必死で、目の前の行為そのものに心を占有されていた私たちも、成長するになるにつれ、何か行為をしながら、頭の中では別のことを考えていることができるようになります。たとえば、私も今、この原稿を書きながらも、早く原稿を終わらせて出かけたいなとか、何もせずにゆっくり一日休みたいななどとさまざまなことを考えています。今日の晩御飯は何にしようかと思いを巡らせた瞬間に、子どもたちがいつも手伝いをしないことへの不満が頭をよぎり、きちんと手伝いができるご家庭はどうやってしつけているのだろう、私の子育てが間違っているからか、などと不快な考えが次々と湧き出てくる、といった連想ゲームのようなことがしょっちゅう起こります。

実際に、料理を作りながら、あれこれと違うことを考えていたために、目の前の料理に集中できず、とんでもない味の晩御飯ができあがってしまったこともあります。その結果、家族から酷評されて逆切れし、その後も茶碗を洗いながら、「私が入院でもすれば、まずい料理でもないよりはましだと家族から感謝されるに違いない。病気のふりして寝込んでやろうか!」などと、怒りと妄想で頭がいっぱいになる、という悪循環に陥ったこともあります。

 こんなふうに、ただ晩御飯を作って食べ、片づけるだけの日常の営みでさえ、過去の不満や将来に対する否定的な予測で頭がいっぱいになっていると、心も体もゆっくりと休ませることができません。しかも常に同じパターンで「特定の悩み(たとえば、家族への不満)」が沸き起こるようになると深刻な心の問題へと発展してしまうこともあります。

◆マインドフルネス認知療法
自分にとってよくない考え方に気づいたとしても、その癖はなかなか変えられないのが人間です。浅田選手がショートプログラムのときにプレッシャーを感じないようにしようと思っても「自分でもコントロールできなかった」と語っている通りです。そのような心の状態を脱するために、心理療法では、今置かれているこの場で、自分の体に感じるものだけに集中するように促す「マインドフルネス認知療法」というトレーニング方法があります。このトレーニング方法では、呼吸の仕方や体の動かし方などに気付き、食事などの日常動作などにおいても、その瞬間瞬間に感じる体の感覚をしっかりと受け止め、集中していきます。浅田選手が「一つ一つのジャンプをクリアに」と語ったその状態がマインドフルネス認知療法の目指すものと実は重なるのです。

何もこの方法はトップアスリートだけにできる超人技ではありません。日常のなにげない動作、たとえば、一口食べた食材の食感や味をしっかりと感じるように心がけたり、食事を作る時にも、食材を洗ったり、切ったりする動作に集中することで、「マインドフルネス」状態を導くことができます。そうやって心を込めて作った料理はおいしく出来上がる可能性が高いでしょうし、たとえ失敗したとしても、自分が心をこめて何かを作るという行為そのものにすでに満足感を味わうことができますので、他人からの評価にとらわれることはなくなります。

◆人からの評価を望まない
周りからの評価に囚われない、ということは大切なポイントです。自分が一生懸命に行っていることは誰かから認めてもらわなければならない、という幻想から逃れることで心の平穏が訪れます。「こんなにがんばっているのに誰にも認めてもらえない」とか「どうして私ばかり大変な思いをしなければならないのか」とか、「親として感謝されるべき」などという邪念を捨てて、子どもの頃のあそびのように、どんなことでも楽しく、行為そのものを楽しめていれば、日常の生活そのものが穏やかに過ごせるようになっていきます。そして、その笑顔によって周囲の人が幸せを感じ、人間関係そのものが変わっていくことがあるかもしれません。

◆困難を超えて
「よくはなかったんですが、あのショートがあったからこそ、このフリーができたんじゃないかなって・・・望んでないんですけど、もちろん両方決めたいという思いはあったんですけど。」

浅田選手は今回の試合を振り返ってそう語ります。世界の頂点を目指して血の滲むような練習を重ねてきた実績があっても、その心の中は決して特別なものではなく、自分の目標を達成するために努力し、目標が達成できなければ絶望さえする、私たちと同じ人間です。そして、その困難が次の目標に向かってのエネルギーとなっていくという点も同じでしょう。

 トップアスリートのように類稀な才能と恵まれた環境に支えられている人たちだからといってその困難さが特別なわけではありません。私たちの日常も何か特別なことがなくても、一人ひとりの心の中に目標があり、苦しみがあり、そしてその困難を乗り越える喜びが平等に与えられています。それぞれの人生における困難さを乗り越えるための心の中のオリンピックでは、誰もが金メダリストになれるチャンスがあるのです


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